好きな短歌
いちはつの 花咲きいでて 我目には 今年ばかりの 春行かんとす
この短歌を目にすると、中学生だった頃を思い出します。
国語で短歌や俳句を習っていたのはちょうど、春が過ぎて陽射しに夏らしさが
にじみ出してくる頃でした。
私が通っていた中学校は山の上の住宅地の中にあったので、毎日のように坂道を上って
いました。山の近くということもあり、夏が近づくと木々の緑がとても鮮やかだった
のを覚えています。
いちはつの花ってそういえばなんだ?って思って調べてみたのですが、アヤメの仲間
なんですね。紫色がきれいで凛とした花だなあって。
正岡子規は病床でこの歌を詠んだのですよね。
季節の移り変わりを知る術が庭に咲く花、そしてその花が咲いたということはもう
私がこの世で過ごす最後の春が過ぎていこうとしているのだな と。
静かに、庭に咲く花を見つめながらこの歌を詠んだのだと思うと、なんだか胸が
詰まりますね。
中学生の頃はなんとなく印象に残る歌だなあ というだけだったのですが、今ブログを
書きながら、何て静かでそれでいて鮮やかな歌なんだろう と思っています。
こんなまじめなブログに書く日がくるとは…(・・;)
思ってもみなかった。なんて。