サイフォンコーヒーの思い出
かつて、アルバイトをしていた喫茶店にはサイフォンコーヒーがあった。
いくつものサイフォンコーヒーのフラスコ(というのかな)が照らされていて、
ゆらゆらと光っていた。
オーダーを通すと、コーヒーを淹れる係りのお姉さんがささっと慣れた手で
コーヒーを淹れていた。
アルバイトじゃない日もお店の前を通りかかると、サイフォンコーヒーの前には
いつもお姉さんが立っていて、お姉さんの横顔がサイフォンコーヒーの光で
照らされていて、どことなく神秘的だったのを今でも覚えている。
基本的に忙しいお店で、どんくさい私はあまり優秀なアルバイトではなかったと思う。
半年という期間だったけども、今でも大好きなお店だ。
そのお店はもうない。
正しく言うときれいになって新しい場所で営業しているのだけれども。
サイフォンコーヒーの光がきらめいているのを遠くから目にする機会がなくなって
はじめて、私はあの風景がとても好きだったんだと気づいた。
半年ぶりに、やっともう一度行く決心がついて自分が好きだった場所に行ってみたら、
なくなっていた。
少しずつ、じわりじわりと寂しくなって、かつてアルバイトしていた喫茶店のことを
久しぶりに思い出した。
ひょっとしたら移転しただけなのかもしれないけれど、調べる勇気がなくて。
でも、そのままにしたくなくてブログを書いている。
その帰り道。