夢見る力
少し前までは、「こういう話を書きたい」とか「もし、こうだったら」とか、
そういう子供のような想像で暇な時間を過ごすことができていた気がする。
少し前までは、「この本、面白いなあ!」とか「この映画観に行きたい!」とか、
そういう欲がもう少しあったような気がする。
少し前までは、「どうしようもなく腹が立つ」とか「絶対、見返したる」という
エネルギーがあったと思う。
なんだか最近、忙しい という言葉に負けて少しずつ夢見る力を失くしている気がする。
楽しいこと、嬉しいこと、怒りや憎しみ、悲しみをエネルギーにすることなく、
ただただ毎日を過ごしている気がする。
私はこれで良いのだろうか と思う。
何者にもなれないのだ という事実を淡々と「はい、そうですか」と受け止めていて
いいのだろうかって。
愛想笑いが少しずつ上手になって。
それでいいのかって。
そのまま夢見る力をなくしていって、自分はそれでいいのかって。
今、きちんと自分と対話しないでいつするのかって。
帰りの電車で窓に映る自分の顔を見て、時々そんなことを思う。